はじめに
前のパートで、まず自分たちの技術や製品候補が医療機器に該当するかどうかを確認しました。
医療機器として進む可能性が見えてきたら、次に整理したいのが、何という医療機器か(一般的名称)、どの程度のリスクに相当するか(クラス分類)、既存品と比べてどの程度新しいか(申請区分)という3つの視点です。
ここは、単なる名称調べではありません。
一般的名称、クラス分類、申請区分が見えてくると、必要になりそうな手続き、相談の重さ、評価の考え方、審査経路、開発期間の見通しが少しずつ具体的になります。
言い換えると、1-2で「医療機器として進むか」を見たのに対して、1-3では「どの規制の枠組みの中で、どのルートを通って進むことになりそうか」を見ていく段階です。
この段階でやること
この段階で主に行うのは、次の確認です。
- 自分たちの製品に近い一般的名称を探す
- 類似製品がどのクラス分類に入っているかを確認する
- 一般医療機器、管理医療機器、高度管理医療機器のどれに近いかを見る
- 既存品との関係から、新規・改良・後発のどれに近そうかを考える
- 認証・承認・届出のどの経路に近そうかを考える
- 既存の一般的名称に当てはまりそうか、それとも新しい整理が必要そうかを考える
- 不明点がある場合、PMDA相談などで確認する準備を進める
この段階の目的は、最終確定を自分だけで言い切ることではありません。
まずは、自社製品がどの一般的名称・クラス分類・申請区分・手続き経路に近いかの仮説を持つことが大切です。
この段階のゴール
この記事を読みながら整理したいゴールは、次の状態です。
- 自分たちの製品に近い一般的名称候補が見つかっている
- 類似製品のクラス分類を確認できている
- クラスI〜IVのどのあたりに近そうかを把握できている
- 新規・改良・後発のどれに近そうかを仮置きできている
- 第三者認証とPMDA承認の違いを理解できている
- 一般的名称、クラス分類、申請区分が、その後の申請や評価に影響することを理解できている
- 既存名称に当てはまらない場合の考え方や相談の必要性が見えている
ここまで整理できると、次に何を調べるべきか、どこに相談すべきかがかなり具体的になります。
先に押さえたい言葉
このパートでは、一般的名称やクラス分類、申請区分など、制度寄りの言葉が多く出てきます。
ここで先に意味を押さえておくと、後の調査や比較が進めやすくなります。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 一般的名称 | 医療機器を薬機法上で整理するための名称です。販売名ではなく、「どういう医療機器か」を示す分類上の名前です。 |
| JMDN | Japan Medical Device Nomenclature の略で、日本の医療機器の一般的名称体系です。PMDAの検索画面でもこの名称体系で探します。 |
| 販売名 | 個別の製品につけられた商品名です。同じ一般的名称に属していても、販売名は製品ごとに異なります。 |
| クラス分類 | 医療機器のリスクに応じた区分です。日本ではクラスIからIVまであり、クラスが上がるほど必要な手続きが重くなる傾向があります。 |
| 一般医療機器 | クラスIの医療機器です。不具合が生じた場合でも人体へのリスクが極めて低いと考えられるものです。 |
| 管理医療機器 | クラスIIの医療機器です。不具合が生じた場合でも人体へのリスクが比較的低いと考えられるものです。 |
| 高度管理医療機器 | クラスIII・IVの医療機器です。不具合が生じた場合の人体リスクが比較的高い、または生命への危険に直結するおそれがあるものを含みます。 |
| 申請区分 | 新医療機器、改良医療機器、後発医療機器など、申請時の整理の仕方です。一般的名称やクラス分類とは別の軸で、既存品と比べてどの程度新しいかを見る考え方です。 |
| 届出 | 主にクラスIの一般医療機器で必要になる手続きです。PMDAへの届出で製造販売が可能になります。 |
| 認証 | 主に認証基準のある指定管理医療機器や一部の指定高度管理医療機器などで必要になる手続きです。厚生労働大臣の登録を受けた登録認証機関が行います。 |
| 登録認証機関 | 第三者認証を行う機関です。PMDAではなく、厚生労働大臣の登録を受けた機関が、認証基準のある指定品目について認証を行います。 |
| 承認 | 主にクラスIII・IV、または基準のないクラスIIなどで必要になる手続きです。厚生労働大臣の承認が必要で、PMDAが審査を行います。 |
| GHTF / IMDRF | 医療機器規制の国際整合に関わる枠組みです。医療機器のリスクベース分類の考え方は、GHTFからIMDRFへ引き継がれ、各国の分類の考え方の土台の一つになっています。 |
| 全般相談 | PMDAの相談制度の入口として使いやすい相談区分です。何をどこに相談すべきか迷う段階で、適切な相談先や相談区分を整理する助けになります。 |
なぜここが重要なのか
1-2で医療機器に該当しそうだと分かっても、それだけでは必要な規制対応の重さまでは見えません。
どの一般的名称に当たり、どのクラス分類に属し、既存品と比べてどの程度新しいのかによって、届出でよいのか、第三者認証が必要なのか、承認審査まで必要になるのか、どの程度の評価が必要になりそうかが変わってきます。
PMDAは、一般医療機器(クラスI)は届出、管理医療機器(クラスII)のうち認証基準のあるものは第三者認証、高度管理医療機器(クラスIII・IV)は厚生労働大臣の承認が必要だと示していますが、指定高度管理医療機器等については登録認証機関による第三者認証の対象となる場合があります。
つまり、クラス分類は単なる難易度の目安ではなく、その後の開発・評価・薬事戦略の入口になります。
また、クラス分類は製品ごとに自由に決まるのではなく、一般的名称ごとに定められています。
そのため、クラスを知りたければ、まず一般的名称を探す、という順番が重要になります。
実務フロー
ここからは、一般的名称、クラス分類、申請区分を調べる実務フローを、順番に見ていきます。
このパートでは、特徴を整理する → 一般的名称を探す → 類似品と比べる → クラスを見る → 申請区分を考える → 手続き経路を考える → 既存名称に当てはまるかを見る → 相談する という流れで進めると整理しやすくなります。
手順1|開発品の特徴を整理する
最初に、自分たちの製品の特徴を、一般的名称やクラス分類、申請区分を探しやすい形で整理します。
1-2で整理した使用目的や出力に加えて、ここでは侵襲性、使用部位、留置時間、能動性なども意識しておきます。
特に見ておきたいのは、次のような点です。
- 何を目的に使うのか
- 診断、治療、予防、モニタリングのどこに関わるか
- 体内に入るか、体表で使うか、体外で使うか
- 継続的に使うか、一時的に使うか
- 不具合が起きた場合、人体へどの程度影響があり得るか
- ソフトウェア単体か、機器本体か、付属品か
- 既存品と比べて、構造、原理、用途にどの程度違いがあるか
クラス分類・一般的名称調査の整理表
| 項目 | 記入すること |
|---|---|
| 技術・製品の名称 | 現時点での仮称でよい |
| 使用目的 | 何のために使うか |
| 対象 | 誰・何を対象にするか |
| 使用者 | 誰が使うか |
| 使用部位・使用環境 | 体内、体表、体外、在宅、病院内など |
| 主な機能 | 測定、解析、診断補助、治療、監視など |
| 侵襲性 | 侵襲ありか、なしか |
| 留置・使用時間 | 一時的、短期、長期など |
| 能動・非能動 | 電力・ソフトウェア等で能動的に動くか |
| 想定リスク | 不具合時に何が起こり得るか |
| 既に見つけた類似品 | 製品名や一般的名称 |
ここで完璧に埋める必要はありません。
まずは、後で一般的名称検索やクラスの見立てをするときに迷わない程度に整理できていれば十分です。
手順2|PMDAの一般的名称検索で候補を探す
次に、PMDAの一般的名称検索を使って、近い一般的名称を探します。
PMDAのJMDN検索では、一般的名称、定義、クラス分類などを確認できます。
探し方としては、次の順番がおすすめです。
- 製品の機能や目的を表すキーワードを出す
- そのキーワードで一般的名称検索をかける
- 出てきた候補の定義を読む
- 自分たちの製品の使用目的や機能と近いものを拾う
- 候補ごとのクラス分類を確認する
たとえば、単に「AI」や「アプリ」で探すよりも、
「画像診断」「超音波」「モニタ」「解析」「カテーテル」など、医療上の役割に近い言葉で探す方が見つけやすいことがあります。
ここで大切なのは、名称そのものの語感ではなく、定義文が自社製品の役割に合っているかを見ることです。
手順3|類似製品と一般的名称をひもづける
一般的名称の候補が見えてきたら、次は市場にある類似製品とひもづけます。
ここで、「既に世の中にある製品が、どの一般的名称に属しているか」を確認すると、自社製品の位置づけが見えやすくなります。
見ておきたいのは、次のような点です。
- 類似製品の販売名
- その製品の一般的名称
- 使用目的や効能効果
- クラス分類
- 自社製品との共通点と違い
一般的名称候補比較表
| 項目 | 開発品 | 候補A | 候補B |
|---|---|---|---|
| 一般的名称 | |||
| 定義 | |||
| 使用目的 | |||
| 主な機能 | |||
| クラス分類 | |||
| 類似製品の例 | |||
| 合っていそうな点 | |||
| ずれている点 |
ここでは、「ぴったり1つに決める」よりも、類似品を一覧化して整理することが理想的です。
そのうえで、どの候補が最も近いかを、使用目的とリスクの両方から見ていきます。
手順4|クラス分類を確認する
一般的名称の候補が見えたら、それぞれに紐づくクラス分類を確認します。
PMDAは、一般医療機器(クラスI)、管理医療機器(クラスII)、高度管理医療機器(クラスIII・IV)という整理を示しています。
大まかには、次のように考えます。
| 区分 | クラス | リスクの考え方 | 主な手続きのイメージ |
|---|---|---|---|
| 一般医療機器 | I | 人体へのリスクが極めて低い | 製造販売届出 |
| 管理医療機器 | II | 人体へのリスクが比較的低い | 指定品目で認証基準に適合する場合は、登録認証機関による第三者認証。そうでない場合は承認の対象となり得る |
| 高度管理医療機器 | III | 人体へのリスクが比較的高い | 指定品目は第三者認証の対象となり得る。指定外は原則として大臣承認 |
| 高度管理医療機器 | IV | 生命への危険に直結するおそれがある | 原則として大臣承認 |
ここで役立つのが、GHTFルール に基づくクラス分類の考え方です。
GHTF(Global Harmonization Task Force)は、医療機器の国際的な規制整合を目指して作られた枠組みで、医療機器をリスクベースで分類する原則を示しました。現在はIMDRFへ引き継がれていますが、分類の考え方を整理する補助線として今でも有用です。
GHTFの分類原則では、まずその製品が医療機器に当たるかを確認し、次に使用目的を明確にしたうえで、各分類ルールを当てはめていきます。
そして、複数のルールにまたがる場合は、最も高いクラスを採用するという考え方が基本です。imdrf+1
GHTFルールで見るポイント
GHTFルールを使うときは、次の観点を順番に見ていきます。
- 使用目的は何か
- 人体に接触するか、しないか
- 非侵襲か、侵襲か、植込みか
- 使用部位はどこか
- 使用期間は一時的か、短期か、長期か
- 能動型か、非能動型か
- 不具合時にどの程度のリスクがあるか
こうした観点を見ることで、単に「リスクが低そう」と感覚で判断するのではなく、どの要素がクラスを押し上げるのかを整理しやすくなります。
GHTFルールの使い方
実務では、GHTFルールだけで日本の正式なクラス分類を確定するわけではありません。
あくまで、自社製品がクラスI〜IVのどこに近そうかを事前に見立てるための整理ツールとして使います。
使い方としては、次の流れがおすすめです。
- 開発品の使用目的、使用部位、侵襲性、使用期間、能動性を整理する
- GHTFの分類原則に沿って、どのルール群に近いかを考える
- 仮のリスク帯を見立てる
- そのうえでPMDAの一般的名称検索や類似製品のクラス分類と照合する
- 最後に、薬務主管課、PMDA、必要に応じて登録認証機関へ確認する
つまり、GHTFルールは最初の見立てを論理的に行うための道具であり、最終判断の代わりではありません。
日本での正式なクラス分類は、一般的名称や国内制度、相談結果も踏まえて確認する必要があります。
GHTFルールの参考リンク
- IMDRFアーカイブ掲載の GHTF “Principles of Medical Devices Classification” https://www.imdrf.org/sites/default/files/docs/ghtf/final/sg1/technical-docs/ghtf-sg1-n15-2006-guidance-classification-060627.pdfimdrf
- 改訂版の考え方を見たい場合は、GHTF/SG1/N77:2012 https://www.imdrf.org/sites/default/files/docs/ghtf/final/sg1/technical-docs/ghtf-sg1-n77-2012-principles-medical-devices-classification-121102.pdfimdrf
- 日本側の確認は、PMDAの一般的名称検索 https://www.std.pmda.go.jp/scripts/stdDB/JMDN/stdDB_jmdn_search.cgi?mode=1std.pmda
- 相談先に迷う場合は、PMDAの全般相談の案内を確認する
この手順での注意点
GHTFルールは便利ですが、これだけで自己判断して終わらせるのは危険です。
特に、GHTF上は低リスクに見えても、日本の一般的名称や認証基準、既存品との関係の中で見ると、想定より上のクラスや別の手続き経路になることがあります。
そのため、GHTFルールで仮説を立てた後は、必ず国内制度に引き直し、必要に応じて薬務主管課、PMDA、登録認証機関に確認してください。
そして、確認した内容は、相談先、相談日、回答要旨とあわせて記録に残しておくことが重要です。
ただし、クラス分類だけを見て結論を急がないでください。
同じクラスIIでも認証基準の有無で進め方が変わりますし、クラス分類と申請区分は別の論点です。
手順5|申請区分の仮説を置く
一般的名称とクラス分類が見えてきたら、もう一つ考えたいのが申請区分です。
クラス分類が「製品のリスクに応じた区分」であるのに対し、申請区分は「既存品と比べて、どの程度の新規性・変更があるか」という観点で、申請時の扱いを考えるものです。
この二つは混同しやすいですが、別の問いに答えています。
| 見るもの | 答えようとしている問い | 主に影響すること |
|---|---|---|
| 一般的名称 | これは、どのような医療機器か | 関連する定義、基準、類似品の探索 |
| クラス分類 | 不具合時のリスクはどの程度か | 届出・認証・承認などの規制手続き |
| 申請区分 | 既存の医療機器と比べて、どの程度新しいか | 審査で求められる資料や評価の考え方 |
PMDAは、医療機器の申請区分として、新医療機器、改良医療機器、後発医療機器などの整理を示しています。
新規・改良・後発の見方
初期段階では、正式な申請区分を自分だけで決める必要はありません。
ただし、開発品がどの方向に近そうかを考えておくと、必要になる評価や相談の重さを見通しやすくなります。
| 区分 | 初期段階での見方 | 例として確認したいこと |
|---|---|---|
| 新医療機器 | 新しい構造、原理、使用目的、適応などを持ち、既存品だけでは説明しにくい | 国内外に近い承認実績があるか、既存の評価方法で十分か |
| 改良医療機器 | 既存品に近いが、構造、原理、性能、材質、使用目的などに意味のある違いがある | 何を変えたのか、その変更が安全性・性能・臨床上の価値にどう影響するか |
| 後発医療機器 | 既存の医療機器と同等性を説明できる可能性がある | 比較対象は何か、同等性を何で示すか、適合する基準があるか |
ここで注意したいのは、一般的名称が同じ、または近いことだけで後発医療機器と決まるわけではないということです。
使用目的、構造、原理、性能、リスク、臨床上の位置づけなどを含めて、総合的に考える必要があります。
申請区分の整理メモ
| 項目 | 記入すること |
|---|---|
| 比較対象となる既存品 | どの製品と比べるか |
| 一般的名称の一致度 | 完全一致、近い、一致しないなど |
| 使用目的の一致度 | 同じ、近い、違いが大きいなど |
| 構造・原理の違い | 何が同じで、何が違うか |
| 性能・出力の違い | どこが改良点か、新規性か |
| 初期仮説 | 新規、改良、後発のどれに近そうか |
| まだ判断できない点 | 追加で調べること、相談したいこと |
この段階では、法的に確定することよりも、どの申請区分に近そうかを仮置きすることが目的です。
手順6|想定される手続き経路を考える
一般的名称、クラス分類、申請区分の仮説が見えてきたら、次は想定される手続き経路を考えます。
ここで大切なのは、認証と承認の違い、そして認証を行うのはPMDAではなく登録認証機関だという点を押さえることです。
医療機器の手続きは、大まかには次のように考えます。
| 主な手続き | 典型的に関係する製品 | 実務上の意味 |
|---|---|---|
| 届出 | 主にクラスIの一般医療機器 | 製造販売前に必要な届出を行う |
| 第三者認証 | 認証基準のある指定管理医療機器、指定高度管理医療機器、一部IVD | 登録認証機関の認証を受ける |
| 大臣承認 | 原則として認証対象でないクラスII、クラスIII・IVなど | PMDAの審査を経て厚生労働大臣の承認を受ける |
登録認証機関は、厚生労働大臣の登録を受けた認証機関であり、PMDAそのものではありません。
また、どの登録認証機関でもすべての品目を扱えるわけではなく、各機関には認証できる範囲が定められています。
そのため、「クラスIIだから認証」「クラスIIIだから承認」と単純に決めるのではなく、
その一般的名称が指定対象か、認証基準があるか、製品がその適用範囲に収まるかを確認する必要があります。
参考|主な登録認証機関
認証ルートに入りそうな場合は、「認証機関があるらしい」で止めず、どの登録認証機関が自社製品の認証範囲を持っているかまで確認します。
第三者認証を行うのは、PMDAではなく、厚生労働大臣の登録を受けた登録認証機関です。
2026年時点で案内されている主な登録認証機関は、次のとおりです。
| 登録番号 | 機関名 | 所在地 |
|---|---|---|
| AA | テュフズードジャパン株式会社 | 東京都新宿区 |
| AB | テュフ・ラインランド・ジャパン株式会社 | 神奈川県横浜市 |
| AC | ドイツ品質システム認証株式会社 | 東京都港区 |
| AD | BSIグループジャパン株式会社 | 神奈川県横浜市 |
| AF | SGSジャパン株式会社 | 神奈川県横浜市 |
| AG | 株式会社コスモス・コーポレイション | 三重県松阪市 |
| AH | 一般財団法人日本品質保証機構 | 東京都八王子市 |
| AI | ナノテックシュピンドラー株式会社 | 千葉県柏市 |
| AK | 一般財団法人電気安全環境研究所 | 東京都渋谷区 |
| AL | 公益財団法人医療機器センター | 東京都文京区 |
ただし、どの登録認証機関でも、すべての品目を認証できるわけではありません。
認証できる範囲は機関ごとに決まっているため、自社製品の一般的名称や認証基準に応じて、厚生労働省の認証範囲一覧で確認する必要があります。
参考リンク
- 厚生労働省「認証範囲一覧」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000074863.html
- PMDA「登録認証機関制度の紹介」:https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/devices/0025.html
手続き経路の整理メモ
| 項目 | 記入すること |
|---|---|
| 一般的名称候補 | どの一般的名称に近いか |
| クラス分類仮説 | I、II、III、IVのどれに近いか |
| 認証基準の有無 | ありそうか、未確認か |
| 指定品目かどうか | 認証対象になりそうか |
| 想定される経路 | 届出、第三者認証、承認のどれに近いか |
| 確認が必要な点 | 登録認証機関の範囲、PMDA相談の要否など |
ここでは、あくまで見通しを持つことが目的です。
正式な経路は、一般的名称、クラス分類、認証基準、製品仕様の詳細を踏まえて最終確認してください。
手順7|既存の一般的名称に当てはまるかを考える
候補を比べていくと、既存の一般的名称でかなり説明できそうな場合もあれば、どれも少しずつずれている場合もあります。
ここで重要なのは、無理に既存名称へ押し込むことではなく、なぜ合いそうなのか、なぜずれているのかを説明できるようにすることです。
PMDAは、一般的名称はJMDNとして設定されており、既存のいずれにも該当しないと考えられる場合には、一般的名称案やクラス分類案、その理由を添えて対応する考え方を示しています。
つまり、既存名称に当てはまらないこと自体が異常なのではなく、そう判断するなら、その理由を整理することが必要になります。
一般的名称判断メモ
| 項目 | 記入すること |
|---|---|
| 最有力の一般的名称候補 | もっとも近いと考える候補 |
| その理由 | 使用目的、機能、リスクのどこが近いか |
| 迷っている点 | 完全には一致しない部分 |
| 他候補との違い | なぜ他よりこちらが近いか |
| 既存名称で足りない点 | 新規性、用途の違い、技術の違いなど |
| 次に確認したいこと | PMDA相談、追加調査、専門家確認など |
このメモは、後で相談するときにとても役立ちます。
「当てはまりませんでした」で止まるのではなく、「どこまでは当てはまり、どこから外れるのか」を示すことが大切です。
手順8|自社仮説の検証・PMDA相談(全般相談)
自力で一般的名称、クラス分類、申請区分、手続き経路の仮説を立てたら、PMDA相談につなげます。
PMDAは、医療機器相談や、一般的名称・クラス分類に関する情報を公開しており、何をどこに相談すべきか分からない段階では全般相談が入口として使えます。
自己判断が一番危険なので、必ず確認するようにしてください。
また、相談前には、何を相談したいのかをできるだけ明確にしてください。
たとえば、一般的名称で迷っているのか、クラス分類なのか、申請区分なのか、認証と承認のどちらに近いかで迷っているのかを言葉にすると、適切な相談先や相談区分を案内してもらいやすくなります。
また、相談したら終わりではありません。
相談先、相談日時、担当部署、相談内容、回答の要点、紹介された次の相談先、メールや面談記録などを必ず残してください。後から社内説明や事業判断を行うときに、その記録が非常に重要になります。
よくある失敗
クラス分類や一般的名称の調査では、該当性確認とは違うつまずき方があります。
特に、次の点は早めに意識しておくと進めやすくなります。
販売名で探してしまう
個別製品の商品名だけを見ていると、制度上の位置づけが見えにくくなります。
調べるときは、販売名ではなく、その製品がどの一般的名称に属しているかを見ることが重要です。
名前が似ているだけで決めてしまう
一般的名称は、言葉の印象ではなく、定義と使用目的で見る必要があります。
名称が近く見えても、定義を読むと対象や機能がかなり違うことがあります。
クラスIIなら必ず認証だと思い込む
管理医療機器であっても、認証基準の有無や指定品目かどうかによって、第三者認証ではなく承認が必要になることがあります。
クラスだけで申請経路を決めつけず、認証基準や指定対象かどうかまで確認する必要があります。
認証をPMDAがやると思ってしまう
第三者認証を行うのはPMDAではなく、厚生労働大臣の登録を受けた登録認証機関です。
PMDAの承認審査と、登録認証機関による認証は、役割が異なります。
クラスIだと勝手に思い込んで自己判断で進めてしまう
これは、実務上かなり避けたい失敗です。
自社では「リスクが低そうだからクラスIだろう」と考え、届出だけで製造販売や事業展開を始めてしまったものの、後から実際にはクラスII以上に該当すると分かれば、必要な認証や承認を経ずに事業を行っていたことになり、重大な法令上の問題につながります。
特に注意したいのは、自己判断が最も危ないということです。
クラス分類、認証対象か承認対象か、一般的名称の当てはまり方は、開発側が「たぶんこうだろう」と思っている内容と、制度上の整理がずれることがあります。
そのため、たとえクラスIだと思えても、最後は必ず、薬務主管課、PMDA、登録認証機関などの公的・制度上の確認先に相談し、判断や案内の記録を残してください。
口頭で聞いて終わりにせず、相談日、相談先、担当部署、相談内容、回答の要点、メールや議事メモなどを必ず保存しておくことが重要です。
どこに聞けばよいか分からない場合は、PMDAの全般相談を入口として使うのが実務的です。
事前に「何を相談したいのか」「一般的名称なのか、クラス分類なのか、申請区分なのか、認証か承認かで迷っているのか」を整理して伝えると、適切な相談先や相談区分の案内を受けやすくなります。
一般的名称が同じなら後発だと思い込む
一般的名称が同じでも、構造、原理、性能、適応、リスクが違えば、申請区分の見立ては変わります。
既存品との距離は、名称だけでなく、中身の違いまで見て判断する必要があります。
既存名称に無理やり当てはめる
近い名称があるからといって、違いを無視して当てはめてしまうと、後の相談や戦略で無理が出ます。
むしろ、「ここは近いが、ここは違う」と整理しておく方が実務的です。
AIで整理する
一般的名称やクラス分類、申請区分の調査は、候補が複数出てきやすく、比較の途中で混乱しやすいところです。
そんなときは、生成AIを使って、候補の比較軸や不足情報を整理してみてください。
一般的名称候補を整理するプロンプト
私は医療機器開発を検討しています。
以下の情報をもとに、考えられる一般的名称候補を比較整理してください。
結論を断定せず、候補ごとの合っていそうな点、ずれている点、追加で確認すべき点を示してください。
以下の形式で整理してください。
1. 開発品の特徴の要約
2. 一般的名称候補の比較
3. 各候補が合いそうな理由
4. 各候補で気になるずれ
5. 追加で確認すべき情報
6. PMDA相談で確認したい論点
【前提】
・技術・製品の概要:
・使用目的:
・対象:
・使用者:
・使用場面:
・主な機能:
・想定リスク:
・調べた一般的名称候補:
クラス分類の見立てを整理するプロンプト
私は医療機器開発を検討しています。
以下の情報をもとに、どのクラス分類に近そうかを考えるための整理をしてください。
クラスを断定せず、リスク、侵襲性、使用目的、不具合時の影響から見て、
どのクラス帯に近いか、その理由と不明点を示してください。
以下の形式で整理してください。
1. リスクの整理
2. 侵襲性の整理
3. 想定されるクラス帯
4. その理由
5. 判断に不足している情報
6. 次に確認すべきこと
【前提】
・技術・製品の概要:
・使用目的:
・対象:
・使用部位・使用環境:
・侵襲性:
・不具合時に想定される影響:
・類似製品情報:
申請区分の仮説を整理するプロンプト
私は医療機器開発を検討しています。
以下の情報をもとに、新規医療機器、改良医療機器、後発医療機器の
どれに近そうかを考えるための整理をしてください。
結論を断定せず、比較対象との違い、同等性の考え方、新規性のポイントを示してください。
以下の形式で整理してください。
1. 比較対象として考えられる既存品
2. 一般的名称の一致度
3. 使用目的・構造・原理・性能の比較
4. 想定される申請区分
5. その理由
6. 判断に不足している情報
7. 相談で確認したい論点
【前提】
・技術・製品の概要:
・使用目的:
・主な機能:
・比較したい既存品:
・一般的名称候補:
・現時点で迷っている点:
手続き経路を整理するプロンプト
私は医療機器開発を検討しています。
以下の情報をもとに、届出、第三者認証、承認のどの経路に近そうかを考えるための整理をしてください。
クラス分類だけで断定せず、一般的名称、認証基準の有無、指定品目かどうか、既存品との比較を踏まえて整理してください。
以下の形式で整理してください。
1. 一般的名称候補
2. クラス分類の仮説
3. 認証基準の有無として確認すべきこと
4. 想定される手続き経路
5. その理由
6. 判断に不足している情報
7. 登録認証機関またはPMDAに確認したいこと
【前提】
・技術・製品の概要:
・使用目的:
・主な機能:
・一般的名称候補:
・クラス分類の仮説:
・類似製品の情報:
・現時点で迷っている点:
相談準備をするプロンプト
私は医療機器開発を検討しています。
以下の情報をもとに、一般的名称・クラス分類・申請区分・手続き経路についてPMDA等へ相談する前に、
整理しておくべき情報を一覧化してください。
以下の形式で整理してください。
1. 相談時に説明すべき内容
2. 現時点の一般的名称候補
3. クラス分類の仮説
4. 申請区分の仮説
5. 手続き経路の仮説
6. 候補ごとの迷っている点
7. 追加で調べるべきこと
8. 相談で確認したい質問
【前提】
・技術・製品の概要:
・使用目的:
・主な機能:
・調べた一般的名称候補:
・類似製品の情報:
・現時点で迷っている点:
※AIの回答は、初期整理の参考情報です。一般的名称、クラス分類、申請区分、手続き経路の最終判断は、必要に応じてPMDAや専門家へ確認してください。
このパートでクリアしたこと
ここまで進めると、自分たちの製品について、どの一般的名称に近く、どのクラス分類に入りそうで、どの申請区分と手続き経路に近そうかを考えるための整理ができています。
このパートの大きな意味は、医療機器として進むと決めた後に、どの程度の規制や手続きの世界に入っていくのか、その輪郭が見え始めたことです。
この記事とワークを通して、次のことをクリアできています。
- 一般的名称と販売名の違いを理解できた
- JMDNを使って一般的名称候補を探す流れを持てた
- 類似製品と比較しながら、自社製品の位置づけを考えられた
- クラスI〜IVのどこに近そうか、リスクの観点から見立てられた
- 新規・改良・後発のどれに近そうかを仮置きできた
- 第三者認証を行うのは登録認証機関であり、PMDA承認とは別の経路だと理解できた
- 自己判断で進めず、公的な確認先で判断を確かめ、記録を残す重要性を理解できた
- 既存の一般的名称に当てはまるかどうかを、理由つきで考えられるようになった
- 必要に応じてPMDA相談につなげるための論点整理ができた
そして、ここで特に重要なのは、一般的名称、クラス分類、申請区分、手続き経路が見えることで、その後の薬事戦略や評価計画の重さが変わってくるということです。
既存の一般的名称に当てはまり、クラスが比較的低く、後発や改良に近く、認証基準のある指定品目に収まりそうであれば、その後の見通しは立てやすくなります。
一方で、既存名称に当てはまりにくい、クラスが高い、新規性が強い、承認ルートに入りそうな場合は、その先の評価や相談もより慎重に進める必要があります。
つまり、このパートで達成したのは、名称を調べたことそのものではありません。
自分たちの製品が、どの規制の枠組みと、どの申請ルートの中で開発されることになりそうかを見極めるための土台をつくれたことです。
次のステップ
一般的名称、クラス分類、申請区分、手続き経路の仮説が見えてくると、次は、必要になりそうな評価やエビデンスをどう考えるかが気になってきます。
特に、性能、安全性、有効性をどのように示していくかは、クラスや製品特性、申請区分によって考え方が変わります。
次は、1-S1.評価項目の考え方 に進み、
どのような観点で性能や安全性を整理していくかを見ていきましょう。