一般的名称とは?クラス分類とは?管理医療機器とか、新医療機器とかってどういうこと?
開発している機器が医療目的の機器である、すなわち「医療機器への該当性あり」と確認した後は、その機器が現在どのような分類の機器であるか調べる必要があります。
この記事では、最初に調べるべき下の表に挙げた5個の分類を解説します。最初は良く分からない感じが並んで意味不明と思うかもしれませんが、1つずつ見ていけばそれほど複雑ではありません。
分類 | 分類名称(一般的名称のみ例を記載) |
一般的名称 | 循環器用超音波画像診断装置、皮膚赤外線体温計 |
クラス分類 | クラスⅠ、クラスⅡ、クラスⅢ、クラスⅣ |
機器分類 | 非侵襲型機器、侵襲型機器、能動型機器、分析機器 |
法律上の分類 | 一般医療機器、管理医療機器、高度管理医療機器 |
承認審査での申請区分 | 新医療機器、改良医療機器、後発医療機器 |
開発・研究している機器が「医療機器」という言葉の定義に該当するのかの確認がまだの方は、下の記事を読んでください。
Contents
一般的名称とは?
私たちは、体温を測りたいと思ったら「体温計取って」と言いますよね。その時、企業が出している温度計の商品名をいうことはほとんどないと思います。そのように、医療機器の種類分けをする際、企業がつけた商品名ではない、医療機器の種類に応じた日本国内共通の名称がつけられています。この名称を「一般的名称」と呼びます。上記の「体温計」であれば、一般的名称に登録されている言葉は、温度の測定原理の差によって「電子体温計」や「皮膚赤外線体温計」などがあります。
一般的名称の調査方法
一般的名称の調査先は、PMDAホームページの一般的名称の検索画面から行うことができます。このサイトでは、現時点で国内に登録されている一般的名称を名称や定義から検索することができます。
試しに「名称」の箇所に「体温計」と入力して検索結果を出してみます。検索すると登録されている一般的名称に「体温計」の言葉があるものが一覧で出てきます。
一覧で出てきた一般的名称をクリックすると、その言葉の定義が同ページ内に表示されます。試しに、「皮膚赤外線体温計」の定義を見てみます。すると、クラスⅡやらGHTFルールやら、特定保守やら書いてあると思います。最初に調べたい機器の分類の大半は、ここに記載されているので、調べてみたら開発している機器の一般的名称があった、という場合は、ここを参照してください。
承認審査での申請区分
申請区分は、既存の医療機器と同じような機器なのか、ちょっと違うのか、全く新しい機器なのかによって異なります。というのも、審査する側に「医療機器として認めていいか」ということを決めるための基準があるか否かで、審査側の負担や審査方法が変わるためです。
該当する一般的名称がある場合は「後発医療機器」か「改良医療機器」
後発医療機器
既存の医療機器と構造や原理、使用方法、使用用途、効果や性能が同等の場合は、「後発医療機器」に該当します。
改良医療機器
似た一般的名称はあるが、既存の医療機器とは少し違う機器の場合は、「改良医療機器」に該当します。完全に定義が一致する一般的名称がないという点については、「新医療機器」と迷うことがあります。その場合は、既存の医療機器と構造、使用方法、効果又は性能の違いを表にして、PMDA相談で「改良医療機器」か「新医療機器」か確定する方が良いかと思います。
この場合、戦略的に「改良医療機器」を押した方がいいか、それとも「新医療機器」がいいかといった点は、PMDA相談対象外なので、注意してください。また、戦略上、「改良医療機器」がいいと思っていても、法的にその解釈が無理な場合は「新医療機器」となりますので、必ずしも要望が通るわけではないこともご留意してください。
該当する一般的名称がない場合は「新医療機器」
既存の医療機器とは、構造、使用方法、効果又は性能が明らかに異なる機器の場合は、「新医療機器」に該当します。
研究開発中の機器の一般的名称を調べてみたら、該当するものが見つからない場合があります。それは日本国内において、その機器における概念と定義が存在しないことを意味します。すなわち、これまでなかった「新しい種類の医療機器」ということです。
その場合、新しく一般的名称を作成してもらうためには、薬事・食品衛生審議会の審議を経て、厚生労働大臣が告示する必要があります。また、承認申請をする際の審査機関が、次に説明するどのクラス分類に該当していても必ずPMDAとなりますので、注意が必要です。
機器分類
機器の分類は、非侵襲型機器、侵襲型機器、能動型機器、分析機器の4種に定義されています。機器はどれか一つだけに当てはまるものではなく、複数該当する場合があります。例えば、超音波検査機器は非侵襲機器であり能動型機器でもあります。
非侵襲か侵襲か
簡単に言うと、機器を生体内に入れる場合は侵襲、機器を生体内に入れない場合は非侵襲です。侵襲機器には、外科手術で使用する機器や、埋め込み型の人工心臓などがあります。
能動型機器か否か
能動型機器とは簡単に言うと、電気で動いているかです。
クラス分類とは
クラス分類とは、端的に言うと「不具合が起こった時、生命に与える影響度合い」によって区分される分類です。クラス分類は、クラスⅠからⅣまであります。
クラス分類 | 定義説明 |
クラスⅠ | 不具合が生じた場合でも人体へのリスクが極めて低い |
クラスⅡ | 不具合が生じた場合でも人体へのリスクが比較的低い |
クラスⅢ | 不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高い |
クラスⅣ | 患者への侵襲性が高く、不具合が生じた場合、生命の危機に直結する恐れがある |
クラス分類の確認方法
クラス分類の確認方法は、一般的名称の定義を確認する方法とGHTFルールを確認する方法の2種が一般的です。一般的名称の定義を確認する方法は、先ほど触れたので、ここではGHTFルールを確認する方法について説明します。
GHTFルールとは、医療機器規制国際整合化会議(GHTF:Global Harmonization Task Force)で議論された、医療機器の分類ルールのことを差します。
GHTFルールは、薬食発0510第8号「高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器に係る
クラス分類ルールの改正について」から確認することができます。
法律上の分類
法律上の文章では、医療機器を一般医療機器、管理医療機器、高度管理医療機器の3種で分類し表記されます。クラス分類さえ分かっていれば、こちらは自動的に決まってきます。法律では機器の品質管理や安全性情報の報告や通知などについても規定があるので、不具合が起こった場合の生体への影響度合いによって3つに分けられています。
一般医療機器:クラス分類Ⅰ
管理医療機器:クラス分類Ⅱ
高度管理医療機器:クラス分類Ⅲ、Ⅳ
さいごに
開発機器を医療機器にする過程で、開発している機器がどの分類に該当するかによって、審査機関が変わったり、試験項目が変わったりするので、最も序盤に確認しておく必要があります。また、法的文書の日本語の解釈によって分類が変わる場合は、迷わず審査機関のPMDA相談で確定しておくことをお勧めします。